人々は日常生活において視覚、聴覚、触覚を通した体験について表現することがある。近年、情報探索行動の分野において、身体情報と呼ばれる身体や感覚を通して経験する情報に対する関心が高まっている。一方、既存の研究では単一の身体部位や感覚に焦点を当てており、複数種の身体情報の関係に関する知見は限定的である。そこで、本研究では、情報探索行動における視覚、聴覚、触覚の使用に関する更なる知見を得るために、東日本大震災の情報探索行動を調査した。具体的には、259 名の体験記を対象に、内容分析を行った。その結果、 感覚の使用は情報ニーズ、情報源、情報入手経路によって変化することが示唆された。さらに、 東日本大震災の情報探索行動における視覚、聴覚、触覚の使用傾向は、性別、所在地、年齢層によって異なる ことが示された。