2023 年 22 巻 1 号 p. 1-13
本研究では,60 代から 80 代の高齢者 1000 名を対象に調査を行い,高齢者のインターネットリテラシー(以下,ネットリテラシー)の実態を明らかにし,ネットリテラシーがウェルビーイングに及ぼす影響過程を検討することを目的とした.その結果,ネットリテラシー,ネット利用への効力感,ネット利用への興味・関心に,年代及び男女による差異が認められた.また,ネットリテラシーがウェルビーイングに及ぼす影響過程として,ネット操作スキル,トラブル対処スキル,ネットでの互助の提供が多いほど,ネット利用への効力感,ネット利用への興味・関心が高まる一方,ネットでの互助の受領が多いほど,ネット利用への効力感,ネット利用への興味・関心が低下すること,ネット利用への効力感,ネット利用への興味・関心が高いほど,ウェルビーイングが高まること等が認められた.これらのことから,高齢者のネットリテラシーを向上させることにより,ウェルビーイングが促進される可能性が示唆された.