日本航海学会論文集
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インドネシアカヌー船型への櫓漕ぎ技術移転の可能性
Vivanda MODASOHisaaki TAKAYAMAKenichi SHIMIZUMasaji GODA
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2013 年 128 巻 p. 15-19

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抄録

日本と同様、インドネシアを含む東南アジア一帯には、多くの木製手漕ぎ漁舟が存在し、沿岸の小規模漁業に用いられている。一般にこれらの漁船にはエンジンが用いられているが、多くのインドネシア漁民は、近年の燃料油高騰の折から、推進を人力に変えたいと希望している。一方、日本では沿岸の小型漁船では櫓漕ぎ推進が採用されていた。しかしこのような漁船も今日、徐々に消滅しつつある。本研究は、インドネシアカヌーへ日本の櫓漕ぎ推進技術適用の可能性を見出すことを目的とした。インドネシア全タイプのカヌー漁船の統計解析の結果から、船の最小長さ3mでアウトリガー間隔(BB)の二分の1の長さ(BB/2)はおよそ99cmと推定された。一方、日本の釣り船タイプの和船では、同様に船の最小長さ3mの長さに対応する船幅は102cmであった。これはいずれも最小船長3mの和船の船幅とインドネシアカヌーの和船の船幅に相当する(BB/2)とはほぼ同じ寸法であるとみなされる。このことは、在来のインドネシアカヌーへ和船の櫓が据えられ、和船櫓漕ぎの技術移転適用の可能性を示唆するものである。

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