日本航海学会誌
Online ISSN : 2433-0116
ISSN-L : 0466-6607
木材の吸水による重量変化(日本航海学会第25回講演会)
古山 修郎
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1961 年 25 巻 p. 81-88

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抄録

船舶設備規程第163条並に英国Merchant Shipping Act Section 61によれば木材を甲板積する場合は水分の吸収による木材の重量の増加が復原性に及ぼす影響を考慮しなければならないと規定している。木材に吸収された水分は木材の重量をいちぢるしく増加させ、ある木材では木材自身よりも水分の方が重いことがある。このような木材を積載する場合は多量の水を運送することになり、これは復原性と共に運賃収入に大きな影響を及ぼすこととなるであろう。従来この水分吸収による重量がどの程度変化するか究明されていなかつたので下記のような実験を試みた。乾燥材を水に浸すと初めは急速に吸水するがその後吸水速度は次第にゆるやかになつてゆく。然しながらこの吸水速度は樹の種類によつて異なり、又同じ樹でも材の心材と辺材によつて差があり、又は材の組織の異なること例えば節が存在する等によつても相違があると考えられる。その上製材と樹皮付丸太との差があり、単に吸水性についてのみ考えても複雑であり、その上航海中水分の蒸発等の問題をも考慮しなければならない。そこで先づ第一段階としてある特定の木材を水に浸し最悪の状態に於ける重量変化を究明することとした。

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© 1961 公益社団法人 日本航海学会
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