日本金属学会誌
Online ISSN : 1880-6880
Print ISSN : 0021-4876
ISSN-L : 0021-4876
論文
高温におけるNd2O3-Na2B4O7擬2元系の相関係とネオジム磁石のリサイクルへの応用
和田 浩樹荒井 誠也小川 和宏山口 勉功
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 85 巻 9 号 p. 359-365

詳細
Abstract

A high temperature recycling process of neodymium magnets using B2O3 flux has been reported. However, the B2O3 flux shows a poor fluidity of the slag. For this purpose of solving the problem, present work considers the use of Na2B4O7 with lower viscosity than the B2O3 flux.

The phase equilibria for the Nd2O3-Na2B4O7 pseudo binary system was investigated in the temperature range from 1460 K to 1780 K. We found that this pseudo-binary system forms the homogeneous melt in the concentration range of from 16 mass%Na2B4O7 to 20 mass%Na2B4O7 and over 55 mass% Na2B4O7 at 1673 K. Based on the determined this diagram, the feasibility study of the recycling process of the neodymium magnets using Na2B4O7 flux was carried out 20 kg and 100 kg high frequency induction furnace. When neodymium magnets and an EV rotor were melted with Na2B4O7 in a carbon crucible, the rare earth elements of Nd, Pr, Dy and Tb in the magnets and rotor were enriched to the Na2B4O7 slag phase and the iron in the magnets and the rotor were contributed to the Fe-C alloy phase. The oxalate precipitation method was used for the recovered Nd2O3-Na2B4O7 slag, more 99 mass% purity ratio of RExOy was recovered.

1. 緒言

近年,HVやEVなどの環境対応車の生産が増加している.それに伴いモーターに使用されるネオジム磁石の需要が拡大している.ネオジムは希土類元素(レアアース)と呼ばれる元素群に属しており,その各元素は化学的な性質が類似することから,地殻中に共存して賦存し,同時に採掘・精錬されるため,複数の希土類元素が同時に得られる.産出地域によって鉱石中に含まれる希土類各元素の品位は大きく異なり,商業的な重希土類元素の採掘・精製は中国の南部に集中している.その世界最大の希土類元素の供給国である中国が2010年に実質的な輸出禁止措置を実施した際には,日本などに供給障害が発生し,軽希土類元素と重希土類元素の価格は10-100倍近く高騰した.こうした一時的な希土類元素資源の供給障害が起きた状況でも,希土類元素の需要に対する一定の供給能力を確保するために国内におけるネオジム磁石のリサイクルプロセスを確立させる必要がある.

現在,製品として使用された後の廃棄された市中屑のネオジム磁石のリサイクルはほとんど行われていない.一方で,磁石の製造工程で発生する工程内屑に関してはリサイクルが行われている.ネオジム磁石のリサイクル方法はAdachi1,Nakamura2,Machida3やOkabeら4-7により取り纏められているが,酸化物や塩化物などとして回収し,希土類元素の製錬原料とする「素材再生法」,磁石として回収し,そのまま再利用する「磁石再生法」,回収した磁石を再溶解,組成調整することで磁石合金として再生する「合金再生法」に大別される.現在,工程屑のネオジム磁石のリサイクル方法は「素材再生法」の1つである磁石廃棄物を酸で溶解する湿式プロセスが採用されている8-10

ネオジム磁石が市中屑として廃棄されている要因として,リサイクルを行うよりも中国などから希土類元素金属もしくは化合物を購入した方が安価であるという背景がある.しかしながら,希土類元素のリサイクルによる環境負荷に比べて,採掘から製錬し,製品を製造する工程で発生する環境負荷は大きいことが知られており,近年,多くのネオジム磁石のリサイクルプロセスが提案されている.乾式プロセスを用いるリサイクル法としては,塩素やヨウ素により希土類元素を選択的に揮発分離する方法11-15,希土類元素を選択的に塩化物として回収する方法16-20,溶融塩に希土類元素を抽出し,溶融塩電解により金属として回収する方法21-25,MgやAgなどの溶融金属を溶媒として用いて希土類元素を抽出する方法26-30などが報告されている.また,磁石中の希土類元素を溶融酸化物(スラグ)として回収する方法として,希土類酸化物のフラックスとしてB2O3を用いる方法31-38や,CaO-B2O3系フラックス39やケイ酸塩40,酸化鉄41などをフラックスとして用いる方法などが報告されている.B2O3系フラックスを用いた方法は,前述のSaitoら31より提案されていた.筆者の1人はその手法を発展させ,Nd2O3-B2O32元系の二液相分離を利用し,ネオジム磁石から希土類元素を溶融酸化物として回収する方法を報告した37,38.しかしながらスラグ相中のホウ素は排水規制元素であり,その使用量の低減が望まれる.またB2O3融体は粘性が高く42,Nd2O3-B2O32元系の二液相分離を用いた場合,炉体を傾動しスラグを回収する際に,B2O3が富化したスラグ相は粘性が高く流動性が悪いため,融体でB2O3が富化したスラグ相と希土類元素が富化したスラグ相をそれぞれ分離して回収することが困難なことがあった.

そこで本研究では,より実用的なプロセスを目指し,B2O3より粘性の低下が見込まれるNa2B4O7をフラックスとして用いた溶融処理により,ネオジム磁石から希土類元素をスラグ相へ分離・濃縮することを目的とし,基礎研究としてNd2O3-Na2B4O7擬2元系状態図の高温での相関係を1460-1780 Kの温度範囲で実験により決定した.次いで得られた擬2元系状態図に基づき,20 kgおよび100 kgを溶解可能な高周波誘導炉を用いてネオジム磁石およびネオジム磁石を含有する電気自動車の駆動用モーターの回転子から希土類元素を分離・濃縮し,回収することが可能であるかを調べた.なお,Nd2O3-Na2B4O7擬2元系状態図およびNa2B4O7をフラックスとして用いたネオジム磁石のリサイクルに関する報告は見当たらない.

2. 実験方法

目的組成になるように純度99 mass%以上のNd2O3とNa2B4O7を秤量,配合し,質量1 gに調製した試料を内径7 mm,高さ25 mm,純度99.9 mass%の白金るつぼに入れ,電気炉に設置した.試料を大気雰囲気下で1460-1780 Kの温度範囲で2 h保持し,その後,試料を水冷した.得られた試料は白金るつぼごと鉛直方向に切断し,目視で試料の溶融状況を確認した後,粉砕してXRD分析で平衡相の同定を行った.さらにSEMにて組織観察を行い,均一融体か固液共存かの判別を行った.固相と液相が分離可能な試料は,液相をICP-OESで化学分析し,液相線を決定した.

実験で決定されたNd2O3-Na2B4O7擬2元系状態図に基づき,炭素系るつぼを有する20 kgおよび100 kg高周波誘導炉を用いて,ネオジム磁石またはEVモーターの回転子の希土類元素をNd2O3-Na2B4O7系スラグに,磁石と回転子の鉄分をFe-C系合金として分離,回収する実験を行った.Table 1に使用した炭素系ルツボの形状と組成を,Table 2には実験に用いたネオジム磁石およびEVモーターの回転子のネオジム磁石の組成を示す.回転子1台の質量は15.5 kgであり,回転子は1.8 kgのネオジム磁石,4 kgの回転シャフトを含む電磁鋼板などの鉄系材料13.7 kgで構成されている.なお,シャフトと電磁鋼板の成分と組成は秘密保持により示すことができない.

Table 1 Carbon crucibles using high frequency induction furnace.
Table 2 Composition of the neodymium magnets.

実験はネオジム磁石と4-5 mass%Cの銑鉄または純度95 mass%以上の電解鉄粉,純度99.4 mass%Cの加炭材,純度99 mass%以上のFe2O3とNa2B4O7を用いた.銑鉄を使用したのは試料の昇温を促進するためである.特に電磁鋼板が使用されている回転子は誘導電流が生じがたく,昇温に時間を有する.Fe2O3は磁石中の希土類元素を酸化する目的で使用した.Fe2O3の添加量は,式(1)で示される磁石中の希土類元素を酸化するのに必要な量,炭素の添加量は,磁石と電磁鋼板と酸化鉄中の金属鉄に対して6 mass%Cになるように量を決定した.Na2B4O7はネオジム磁石に含まれるRE(Nd, Dy, Pr, Tb)を酸化物に換算し,得られた状態図に基づき,液相領域での実験を行うため,19 mass% Na2B4O7または60 mass% Na2B4O7になる量とした.誘導炉を用いた溶解実験の試薬量,後述する傾注時の温度などの条件をTable 3に示す.   

\begin{equation} 2\text{RE} + \text{Fe$_{2}$O$_{3}$} = \text{RE$_{2}$O$_{3}$} + 2\text{Fe}\ \text{(RE: Nd, Pr, Dy, Tb)} \end{equation} (1)

Table 3 Experimental conditions.

実験操作は溶解炉に組み込まれている炭素系るつぼにネオジム磁石またはモーター回転子を銑鉄と共に挿入し,加熱溶解した.磁石または回転子の溶融を確認後,Fe2O3を添加して磁石中の希土類元素を酸化した.その後,フラックス成分であるNa2B4O7を添加し,0.5 h保持し,炉体を傾動し,炉からスラグと溶鉄を鉄製の容器に傾注,回収した.回収後のスラグ相と鉄相の各成分濃度をICP-OESで測定した.なお,スラグ相のSiO2は重量法で,鉄相の炭素濃度はSEM-EDSで決定した.

得られたスラグ相は6 mol·L−1塩酸で浸出した後,溶液中の希土類イオン量に対して,希土類シュウ酸塩を形成するために必要な化学量論量の2倍のシュウ酸イオンを1 mol·L−1シュウ酸溶液として添加した後,7 mol·L−1アンモニア水を加えてpH = 2に調整した.生成したシュウ酸塩の沈殿物は濾過により回収し,乾燥した後,白金るつぼ内で1173 K,0.5 h焼成し,希土類酸化物として回収した.得られた希土類酸化物の組成はICP-OESによる化学分析で決定した.

3. 実験結果および考察

3.1 Nd2O3-Na2B4O7擬2元系状態図

試薬のNd2O3とNa2B4O7を白金るつぼ内で1460-1780 Kで加熱し,急冷組織の観察から相関係と液相線の決定を試みた.一例として,1623 Kで溶融保持後,急冷をしたNd2O3-Na2B4O7系試料の鉛直方向の断面写真をFig. 1に示す.37.4 mass% Na2B4O7, 50 mass% Na2B4O7, 57 mass% Na2B4O7の試料は白色の固相が確認できるが60 mass% Na2B4O7, 72 mass% Na2B4O7の試料は透明であり,均一スラグが冷却されてガラス化していることがわかる.Fig. 2には1623 Kから急冷した50 mass%Na2B4O7と60 mass%Na2B4O7の試料のXRDの分析結果を示す.50 mass% Na2B4O7の試料ではNdBO3の結晶が観察されたが,60 mass% Na2B4O7の試料はガラス質であり,結晶相が確認されなかった.また,57 mass% Na2B4O7のように固相と液相の相分離が可能な場合は,液相をICP-OESにより化学分析し,液相線を決定した.本実験により決定された1460-1780 KにおけるNd2O3-Na2B4O7擬2元系の液相線をFig. 3に示す.図中,黒丸はICP-OESにより決定された液相線組成を,四角はSEMによる組織観察とXRDによる相の同定の結果を示す.1673 Kでは16-20 mass% Na2B4O7の濃度範囲で均一融体相の存在が確認できた.16 mass% Na2B4O7以下において液相はNd2O3固相と平衡していた.一方,20 mass% Na2B4O7の液相と平衡する固相はNdBO3化合物ではなく,Naを含むNdxNayBzOの3元化合物であった.SEM-EDSやXRDにて相の同定を試みたが,EDS分析ではB濃度が正確に測定することが困難であり,また,XRDの結果はデータベースと一致する化合物が見当たらず,相の同定ができなかった.また,55 mass% Na2B4O7以上の場合でも均一融体が存在していた.この液相線はNaを含まないNdBO3固相と平衡していた.Nd2O3-B2O32元状態図41と本実験結果に基づき,Nd2O3-B2O3-Na2O3元系の相関係をFig. 4に示した.Nd2O3と平衡する液相はNa2Oが共存することによりNd2O3-B2O32元系に比べて僅かにNd2O3の溶解度が大きくなることがわかる.一方,NdBO3化合物と平衡する液相はNa2Oの共存によりNd2O3-B2O32元系に比べて溶解度が小さくなる.

Fig. 1

Vertical section of the Nd2O3-Na2B4O7 slag at 1623 K.

Fig. 2

XRD results. (a) 50 mass% Nd2O3-50 mass% Na2B4O7; (b) 40 mass% Nd2O3-60 mass% Na2B4O7.

Fig. 3

Liquidus lines and phase relations for the Nd2O3-Na2B4O7 pseudo binary system.

Fig. 4

Phase relations of the Nd2O3-B2O3-Na2O ternary phase diagram at 1623 K.

3.2 ネオジム磁石とEVモーター回転子からの希土類元素の回収

本実験で決定されたNd2O3-Na2B4O7擬2元系の液相線に基づき,20 kgおよび100 kg溶解炉を用いてネオジム磁石とEVモーター回転子に含まれる希土類元素を回収することが可能であるか実験を試みた.本実験では5つの実験条件で溶解実験を行ったが,いずれの条件でも炉体を傾動し,スラグ相と合金相を炉から回収することが可能であった.比較としてB2O3フラックスを用いた予備実験では,スラグ相が傾注の途中で水飴のように糸状に伸びて凝固する現象が確認された.このことからB2O3と比較してNa2B4O7をフラックスとして用いたスラグ相は粘性が低く,回収に有利であることが確認できた.Fig. 5に例として実験に使用したEVモーター回転子と,回転子を溶融し,傾注により回収したスラグ相と鉄相の写真を示す.また,Table 4および5にICP-OESを用いて決定した各実験条件における鉄相とスラグ相の成分濃度をそれぞれ示す.Table 4に示されるようにFe-C系合金には,レアアースがほとんど含まれておらず,磁石中の希土類元素はスラグ相に移行したと考える.また,本処理により生成されるFe-C合金中有のB濃度は0.6 mass%以下であり,B2O3フラックスを用いた報告37,38に比べてB濃度が低いことが特徴的である.これは単独のB2O3に比べてNa2B4O7を用いることで,B2O3の活量が低下することに起因する.鉄相中のBはFe2BやFeB化合物を生成し43,鉄の機械的強度を低下させる.回収された鉄の再利用を考える上では,鉄相中のB濃度は低いことが望ましい.なお,本実験では固体電解質を用いた酸素濃淡電池で系の酸素分圧は測定していない.今,炭素るつぼの使用により炭素飽和とし,CO分圧をpCO = 1と仮定すると,熱力学平衡計算より実験温度1500-1780 Kで酸素分圧はlog pO2 = −17.0~−15.7程度になっていると推測される42

Fig. 5

Appearance of (a) EV rotor, (b) the recovered RExOy-Na2B4O7 slag, (c) the recovered Fe-C alloy.

Table 4 Composition of the Fe-C alloys.
Table 5 Composition of the Nd2O3-Na2B4O7 slag.

Table 5に示されるように,ネオジム磁石単体を溶融において,目標スラグ組成を60 mass%Na2B4O7とした場合,回収されたスラグ中のRExOyの合計濃度は32 mass%程度で,B2O3濃度は39-47 mass%であった.また,19 mass%Na2B4O7の実験では,スラグ中のRExOyが60-65 mass%で,B2O3濃度は22 mass%程度であった.いずれの条件においても添加したNa2B4O7フラックス量に対して,スラグ中のRExOy品位が低い.この理由は,るつぼに含まれるAl2O3やSiO2がスラグ中に溶解したこと,磁石中のBが酸化されB2O3としてスラグに移行したことなどが考えられる.

EVモーター回転子の溶融実験では,目標としたスラグ組成は82 mass% RExOyであったが,回収されたスラグ相中のRExOyは43 mass%程度と目標組成より低い値となった.これは前述の理由に加えて,回転子の電磁鋼板に含まれる成分の影響である.なお,スラグ中の希土類元素濃度の低下は,湿式法によりスラグから希土類元素を回収するうえで,スラグの酸浸出に用いる酸の使用量の増加に繋がる.しかしながら磁石中の希土類元素のスラグ相への移行率が高い値を示していれば,希土類元素の回収率には影響はしない.そこで各希土類元素の磁石からスラグ相への移行率を,磁石中の希土類元素の質量と溶鉄相の各希土類元素の濃度と質量から求め,Table 6に示した.ここで,99.95%*と表記した箇所は溶鉄相中の希土類元素濃度がICP-OESの分析下限以下であったため,分析限界の値を用いて算出した.各希土類元素とも95-99.95%程度のスラグへの移行率を示し,磁石中の希土類元素はスラグ中に濃縮されていることがわかる.

Table 6 Migration rate of RE(Nd, Dy, Pr, Tb) elements from neodymium magnets to the slag.

著者の1人は1443 Kで磁石と同質量のB2O3フラックスを添加し,Nd2O3-B2O32元系状態図41の二液分離領域にて磁石中の希土類元素をスラグ相として回収できることを報告した37,38.スラグ中のB2O3濃度は76 mass%B2O3程度であった.本研究のスラグ中のB2O3濃度は13-42 mass%で,Nd2O3-B2O32元系の二液分離を用いた場合に比べてB濃度は1/6-1/20程度となり,スラグ中のBを低減することができた.

EVモーター回転子とNa2B4O7系フラックスを溶融して得られたRExOy-Na2B4O7系スラグにシュウ酸塩沈殿を適用して希土類酸化物の高純度化を試みた.湿式処理により回収されたRExOyの写真をFig. 6に,ICP-OESの分析結果をTable 7に示す.Nd, Pr, Dy, Tb酸化物の濃度を合計したRExOyの濃度は99.3 mass%程度を示した.

Fig. 6

The rare earth oxide recovered from EV rotor.

Table 7 Composition of the recovered rare earth oxide.

4. 結言

本研究では,Nd2O3-Na2B4O7擬2元系の液相線と相関係を決定し,得られた擬2元系状態図に基づき,ネオジム磁石およびEVモーターの回転子から希土類元素を分離・濃縮して回収することが可能か実験を試みた.その結果,次のような知見が得られた.

(1) Nd2O3-Na2B4O7スラグでは,溶融温度1673 K以上で16-20 mass% Na2B4O7において均一な液相組成が得られることがわかった.また55-67 mass% Na2B4O7で,1473-1723 Kの温度で均一液相が形成される.

(2) Nd2O3-Na2B4O7擬2元系状態図に基づき,20 kgおよび100 kg溶解炉においてネオジム磁石およびEVモーターの回転子から希土類元素の回収実験を行った.RExOy-Na2B4O7系スラグとFe-C系合金に分離し,磁石中の希土類元素はスラグに濃縮される.磁石と回転子の主成分であるFeと希土類元素を分離することができた.

(3) 回収されたFe-C合金中のB濃度は0.6 mass%以下であり,B2O3フラックスを用いた場合に比べて低い値を示す.これはNa2B4O7系フラックスを使用することによりB2O3の活量が低下することに起因する.

(4) Na2B4O7フラックスを用いて生成されたRExOy-Na2B4O7系スラグにシュウ酸沈殿法を適用することにより,希土類酸化物の合計が99 mass%以上のRExOyを回収することができた.

本研究は,自動車リサイクル高度化支援事業の助成を受け実施されました.ここに謝意を表します.

文献
 
© 2021 (公社)日本金属学会
feedback
Top