パワー・エレクトロニクス研究会講演論文集
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誘導電動機の高速応答制御方式
熊野 昌義伊与田 功
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1977 年 3 巻 p. 61-70

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抄録

従来, 高速応答可変速電動機としては, 専らレオナード法による直流機が用いられて来たが, 一方で, 価格メインテナンスの面から, 交流機の応用も長年研究されて来た。交流機を駆動するための可変電圧 (電流) 可変周波数電源装置 (VVVF) は電力半導体技術の全体的な向上により製作可能となり, 現に交流機として同期機を用いた方式では, 当社に於ても方形波タイプで250kWの物を納入し, 正弦波タイプについては300kWの物を開発するまでに至っている。
しかし, 完全ブラシレスと言う大きなメリットを持ち, 製作が容易で堅牢であるという特徴を持つ「カゴ形誘導機」については, 制御法が確立されておらず, 一般に「誘導機は応答が遅い」と考えられて来た。
筆者らは, 誘導機の微分方程式を座標変換法を使って整理し, トルク瞬時値を表わす式を誘導し, この式により,「トルクの瞬時応答制御は可能であり, しかも1つではなく幾通りもある」事を数式的に証明した。また, 高速応答制御について既に提案されている方式か(1)(2), 本式より考えられる制御方式の1つに一致する事を示した。更に, シミュレーションにより, これらの方式でトルクの瞬時応答が可能な事, トルク変化時に, 従来発生していたトルクの低周波振動が本方式では全く現われない事を確認したので報告する。

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