本研究は、大量の文献情報を計量的に扱う計量書誌学分析の一つである引用ネットワーク分析を用いることで、セキュリティ分野全体がどのような知識構造になっているのかを明らかにしたものである。近年セキュリティ分野の研究は増加する一方であり、それらの論文を2000年・2005年・2010年・2015年までに期間を区切り、主として上位10位までの国・組織・研究テーマ等を分析した。その結果、研究の対象は、2000年以降、サイバーセキュリティ分野、安全保障分野の論文が増加しており、すでに主要な研究領域となっていることが明らかになった。また研究の主体は、これまで米国及びその機関が他を圧倒してきたが、近年その全体に占める影響力は低下しつつあり、代わりに中国が存在感を増してきていることが明らかになった。