近年,都市銀行の合併に伴うシステム統合など大規模プロジェクトの破綻が頻発している。そのために社会的経済的な混乱が発生しその影響はますます増大している。プロジェクトの成否の鍵を握るのはプロジェクトマネジャである。そこで,プロジェクトマネジャに本当に必要な知識や能力は何かを研究した。従来から多くの企業などでプロジェクトマネジャ向けの教育が行われてきたがその内容が適切であるかの検証は,あまり行われていない。それはプロジェクトマネジャに真に必要な知識や能力が何であるかの具体的かつ客観的なデータが見あたらないからである。そこで筆者が担当した18のシステム開発事例から開発に重大な影響を与えた要因などを抽出し,分析・評価した。その結果,先行研究などで主張されてきた教育内容はほぼ妥当であることが確認出来た。また技術的な側面よりも経営的な側面がプロジェクトの成否に与える影響が大きく,プロジェクトマネジャにはその知識や能力が不足していることが判明した。本論文では分析・評価の方法とその結果について述べる。