抄録
本研究の目的は,女子プロ野球選手を対象に,職務満足感と目標志向性,競技特性不安の関連性を検討することであった.2013年の 2 月と 3 月に 57 名の女子プロ野球選手に対して質問紙調査を実施した.質問項目は, 1) 職務満足感, 2) 競技特性不安, 3) 目標志向性, 4) 選手の競技特性に関する情報(例えば,年齢,競技年数,ポジションなど)であった.職務満足感と目標志向性,年齢,競技年数を独立変数,競技特性不安とその下位尺度を従属変数とした重回帰分析によって,職務満足感と目標志向性,競技特性不安の関連性について検討した.重回帰分析の結果,職務満足感と競技特性不安との間には有意な関連性は認められなかったが,自我志向性と競技年数が競技特 性不安に対して有意な説明力を有していることが確認された.これらの結果から,女子プロ野球選手の場合は全体的な職務満足感が高まったとしても,競技パフォーマンスに悪影響を及ぼす競技特性不安の抑制にはつながらないが,選手の自我志向性を低下させることで競技特性不安を抑えることができると考えられる.