抄録
本研究の目的は、訴求力の高い観光資源を持たない村落(持たざる村落)において観光取組が行われる根源的な動機を明らかにすることである。Z.バウマンと渡邊悟史の不安論の観点から、持たざる村落での観光取組は、死の不可避性から生じる不安を解消するための戦略と捉えられる。また、住民の語りからは「生きた証を残す」ことだけでなく「生きる選択肢を残す」ことも観光取組の動機になっていることが明らかになっ た。これはバウマンや渡邊の議論では触れられていない、個人の近未来に焦点を当てた新たな不安解消戦略と理解できる。