日本救急医学会雑誌
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症例報告
Winslow孔への嵌頓により閉塞性黄疸を生じた遊走胆嚢の1例
山家 仁森 尚秀伊藤 哲哉池田 祐二青木 浩一賀久 道明中村 大介
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キーワード: 内ヘルニア, 胆嚢捻転
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2008 年 19 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
胆嚢Winslow孔ヘルニアと胆嚢捻転の合併は極めて稀な病態である。かつこの病態による閉塞性黄疸合併の報告は無い。症例は97歳の女性。心窩部痛を主訴として受診。眼球結膜と皮膚に黄染を認め,血液検査で黄疸及び炎症反応陽性であった。腹部超音波と腹部CTで胆嚢捻転と診断され,かつ胆嚢のWinslow孔への嵌頓が疑われた。緊急開腹術を施行したところ上記の病態が確認され,黄疸は嵌入胆嚢による総胆管の背側からの圧排が原因と判明した。術後は順調に経過し第23病日退院となり,術後約24か月の現在,元気で外来通院中である。遊走胆嚢のWinslow孔への嵌頓と捻転により閉塞性黄疸を生じた,過去に例の無い症例を経験したので報告した。
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© 2008 日本救急医学会
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