抄録
敗血症に対するbiapenemの頻回分割投与の臨床的有効性について評価することを目的に,従来の 2 分割投与法との比較検討を行った。敗血症26症例(平均年齢は56.5歳,男性19例)を, 2 分割投与群(14例);biapenem 0.6gを12時間毎に 1 日 2 回点滴静注する, 4 分割投与群(12例);biapenem 0.3gを6時間毎に1日4回点滴静注する,に無作為に割り付けた。治療効果の評価として,体温,白血球数,CRPを用いて,すべての改善を著効,2つの改善を有効と判定した。結果は,有効率(有効+著効)が全体で69.2%, 2 分割投与群71.4%, 4 分割投与群66.7%で,著効率は 2 分割投与群35.7%, 4 分割投与群50.0%であった。細菌学的検査では, 2 分割投与群で治療後にも 5 例に感受性菌を認め,他の 5 例に新たに耐性菌を認めた。一方, 4 分割投与群では治療後に感受性菌の残存と新たな耐性菌の出現を認めたものはそれぞれ 1 例のみであった。両群ともに肝・腎機能検査値が有意に上昇したものはなかった。biapenemの 4 分割投与法は,起因菌の消失率および耐性菌の出現率において有用で,より高い臨床効果が得られる可能性が示唆された。