日本救急医学会雑誌
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症例報告
内因性のangiographically occult arteriovenous malformation破裂による脳内出血が原因と考えられた重症多発外傷の一症例
澤村 淳菅野 正寛久保田 信彦上垣 慎二早川 峰司黒田 敏丸藤 哲
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2011 年 22 巻 2 号 p. 62-69

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抄録

交通外傷で搬送された重症多発外傷例で,angiographically occult arteriovenous malformation(AOAVM)が脳内出血の原因と考えられた症例を経験した。症例は24歳女性。自家用車を運転中に交差点での単独事故で受傷した。近医へ救急搬送されたが高エネルギー外傷のため当院へ紹介された。来院時の脳CTで脳挫傷を伴わない右被殻出血を認めた。またinjury severity scoreは48点であった。IIIa型腎損傷に対してtranscatheter arterial embolizationを施行した。右大腿骨骨折に対して鋼線牽引を施行した。外傷性播種性血管内凝固症候群を呈しており新鮮凍結血漿を含めた大量輸血を要した。3時間後の経過観察CTで脳内出血の増大を認めたため,AVMが原因と推察し脳血管撮影を施行したが,明らかな異常血管を認めなかった。来院6時間後のCTで切迫脳ヘルニアが出現し緊急開頭血腫除去術を施行した。術中所見では血腫の中に異常血管が認められ,病理組織検査でAVMと診断した。若年発症例や高血圧が併存しない脳内出血症例の場合,鑑別診断にAOAVMを考慮すべきである。

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© 2011 日本救急医学会
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