日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
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原著論文
外傷患者における血中プロカルシトニンの急性期の上昇についての検討
原田 正公上之原 広司杉田 京一菊野 隆明小井土 雄一木村 昭夫高橋 立夫若井 聡智川崎 貞男宮加谷 靖介金子 唯熊谷 和美高山 隼人高橋 毅
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キーワード: 頭部外傷, 重症度, 転帰
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2014 年 25 巻 3 号 p. 81-92

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抄録
【目的】プロカルシトニン(PCT)は全身性感染症,とくに細菌感染症で上昇するといわれているが,一方で外傷などでも受傷後早期に上昇する例が報告されている。そこで,外傷患者における受傷後早期PCTを調査し,外傷部位や外傷の重症度,在院転帰との関連を調査した。【対象と方法】2010年4月1日から2012年2月28日までに国立病院機構の11箇所の救命救急センターを受診し,入院を要した外傷患者を対象とした。重症度,来院時(Day0)および来院後12 ~24時間(Day1)のバイタルサイン,CRPとPCTを記録し,外傷部位や外傷重症度とPCTとの関連について単変量解析を用いて検討し,また在院転帰とPCTの関係について多変量解析を用いて検討した。【結果】218名の患者が登録された。Day0とDay1のCRPとPCTを比較するとほとんどの部位の外傷においてDay1で有意な上昇を認めた。ISS(injury severity score)別にみてみるとDay1のPCTはISSが高値になるほど高くなった。Day1のPCTは頭部,四肢,多発外傷で有意にISS>20群で高くなった。在院転帰に関して調査項目の比較検討を行ったところ,GCSおよびDay1のPCTで有意差を認めた。頭部外傷患者に絞ってロジスティック回帰分析を行ったところ,GCSおよびDay1のPCTが説明変数として選択され,両者を組み合わせたROC曲線下面積は0.98309であった。【結語】外傷患者のDay1のPCTは,頭部,四肢,多発外傷では外傷の重症度が高いほど高値となる。また頭部外傷患者では,GCSとDay1のPCTを組み合わせることで,予後予測に有用である可能性がある。
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© 2014 日本救急医学会
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