日本救急医学会雑誌
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大阪北摂地域における院外心停止症例のUtstein様式に基づいた記録集計結果
西原 功平出 敦森田 大林 靖之明石 浩嗣山村 仁
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1999 年 10 巻 8 号 p. 460-468

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抄録
国際的に共通な様式として提案されたUtstein様式に基づき,大阪北摂の7市における(総人口168万人,総面積340km2),病院外心停止患者の記録集計を行った。この地域にある3つの救急施設の救急医と,7市消防本部の救急救命士が集まり,北摂CPA研究会を組織した。一般病院の協力も得て運用にあたった結果,この地域における全人口を対象とした,前向き研究として記録収集を行うことができた。1996年11月より1997年10月までの1年間に救急隊が関与した病院外心停止症例は784例であり,うち615例が蘇生の対象となった。この数値は,人口10万人あたりでは,年間,それぞれ46.8人,36.7人に相当した。心原性の心停止例308例,非心原性の症例は307例であった。蘇生の評価上重要だといわれている心原性の目撃された心停止例は,バイスタンダーに目撃された症例112例,救急隊員に目撃された症例23例であった。心拍再開例は全体で201例,入院となったものは163例であった。社会復帰例は全体で8例あったものの,心原性目撃例からの社会復帰例はわずか1例にすぎなかった。われわれが開始したUtstein様式に基づいた独自の記録により,蘇生に関して,他の地域との比較検討が可能となるとともに,独自のデータ集積が行えた。
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