日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
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Iliosaeral Screwを使用した不安定性骨盤骨折の観血的整復固定術
鈍的刺入法と運動機能モニタリング
稲田 有史北川 信一郎宮本 誠司井上 聡巳坂本 尚典川口 昌彦古家 仁
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2000 年 11 巻 3 号 p. 103-110

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抄録

不安定性骨盤骨折に対するIliosacral screw(以下,IS screw)による固定方法は,欧米を中心に広く用いられてきているが,その刺入には技術的に困難を伴い,合併症の発生率は1-6%と報告されている。われわれは,独自の工夫として,鈍的刺入法と運動機能モニタリング(motor-evoked potential monitoring,以下MEPM)を用いて,その合併症の発生頻度を抑止できるか否かを検討した。症例は9症例の不安定性骨盤骨折に対して,12本のIS screwを刺入し,術中,MEPMを使用したのは6症例,7 screwであった。最終的に全例が神経損傷を回避でき,疼痛なく独歩可能となった。IS screw刺入に際しての挿入の困難さは鈍的刺入法とMEPMの組合せにより,軽減できるものと考えられた。術中,MEPMはIS screwの締めすぎによって57%に低電位を示し,神経圧迫を感知する可能性が示唆されたが,screwを緩めることで低電位は回復した。

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