日本救急医学会雑誌
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自己血輸血施行時の血中サイトカインの変動について
菊地 充村田 厚夫行岡 哲男葛西 猛遠藤 重厚松田 博青島崎 修次
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2000 年 11 巻 8 号 p. 386-392

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抄録

洗浄回収式自己血輸血施行例において自己血輸血による血中サイトカインの影響について検討することを目的とした。15例の腹腔内出血例を,SATを行った(A)群7例と,同種輸血を行った(B)群8例の2群に分けた。術前,術後第1病日(POD 1)およびPOD 3に末梢血を採取し,IL-6, IL-8, TNF-α, IL-1raについてELISA法を用いて測定した。血中IL-6値はA群術前141.6±38.6pg/ml(平均±標準誤差),POD 1 369.1±53.2pg/mlであった(術前と比べてp<0.05)。 POD 3には121.0±7.3pg/mlと減少する傾向がみられた。B群は術前120.1±59.4pg/ml, POD 1 235.9±57.4pg/mlとA群と同様に上昇したが,その増加はA群と比べて軽度であった。B群もPOD 3は123.2±16.1pg/mlと減少する傾向がみられた。血中IL-8値は術前A群72.7±22.9pg/mlからPOD 1 237.9±13.5pg/mlに,B群は術前56.4±25.0pg/ml, POD 1 41.4±15.6pg/mlと変化はなかった。POD 1の両群間の値を比較すると,A群が有意に高値を示した(p<0.05)。血中TNF-α値はA群の術前値が13.6±2.1pg/ml, POD 1は13.7±2.8pg/mlで,B群も術前は10.9±2.5pg/ml, POD 1は17.1±4.9pg/mlとほとんど変化なく推移し,両群ともに正常範囲内での変動であった。A群の血中IL-1ra値は,術前が927.5±230.3pg/ml, POD 1は698.7±208.5pg/mlであった。B群は術前が1,239.4±361.0, POD 1に284.2±147.7と減少した。以上から,SATによりIL-8が活性化されることが示されたが,自己血輸血に伴う炎症反応などの副作用はなく,その原因は出血あるいは回収・洗浄システムによる赤血球の溶血が関与していることが推察された。

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