日本救急医学会雑誌
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下腿のコンパートメント症候群を来した原発性化膿性筋炎の1例
松島 一英福田 明輝天願 俊穂松浦 謙二本竹 秀光宮城 良充
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2005 年 16 巻 12 号 p. 647-651

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抄録

原発性化膿性筋炎は亜急性の経過をたどる骨格筋の感染症である。熱帯性筋炎とも言われ,その他の地域からの報告はまれである。今回われわれは下腿のコンパートメント症候群を来した原発性化膿性筋炎の1例を経験したので報告する。症例は糖尿病の既往がある37歳の男性。1週間続く右下腿の腫脹と痛みを主訴に来院した。明らかな皮膚病変は認めず。右下腿の組織圧の上昇を認めたためにコンパートメント症候群の診断にて緊急で筋膜切開術を施行した。筋肉内より膿の流出を認め,黄色ブドウ球菌が検出された。適切な抗生剤の投与と創部洗浄を継続し,最終的には下腿筋群の後遺症なく軽快した。われわれが調べえた範囲では本邦において原発性化膿性筋炎によるコンパートメント症候群の報告は初めてである。

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