日本乳癌検診学会誌
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症例報告
乳腺葉状腫瘍を合併した検診発見Stage IV乳癌の1例
門馬 智之佐久間 威之松嵜 正實片方 直人渡辺 文明山口 佳子野水 整竹之下 誠一
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キーワード: 葉状腫瘍, 乳癌, 検診
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2009 年 18 巻 2 号 p. 189-195

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抄録
乳腺葉状腫瘍と乳癌が同時同側乳房に合併することは稀である。これまで本邦では19例の報告があり,それらほとんどの受診動機は腫瘤の自覚であった。今回,地域MMG併用検診の触診で硬結を指摘され発見された乳腺葉状腫瘍合併Stage IV乳癌を経験した。症例は50歳代,女性。7年前の地域検診で微細石灰化あり,精密検査としてのステレオガイド下マンモトーム生検では乳腺症の診断であった。3年前と1年前の地域検診では異常は指摘されていなかった。今回の地域検診にて触診上硬結を指摘され,当院を受診し,右外側上部に5.0×4.5cmの硬結を触知し,右の腋窩リンパ節も触知した。MMGでは右乳房には線維腺腫の石灰化を思わせるポップコーン状石灰化を認めるのみであった(カテゴリー2)。超音波検査では辺縁不整な低エコー腫瘤影と石灰化が認められた。針生検では浸潤性乳管癌であり,胸部CTにて多発肺転移が見つかり,T2 N3 M1,Stgae IVと診断した。右乳房切除術(Bt+Ax)を行い,術後の病理組織診断では,葉状腫瘍を伴う浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌)で,リンパ節転移が24個中22個に認められた。術後は化学療法および放射線療法を施行している。葉状腫瘍を伴う乳癌で,地域乳癌検診を行っていたにもかかわらずStage IVにて発見された,教訓とすべき貴重な症例と考えられた。
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© 2009 日本乳癌検診学会
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