日本乳癌検診学会誌
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第26回学術総会/パネルディスカッション2
ハイリスクグループに対する検診
  • 松本 恵, 矢野 洋, 大坪 竜太, 永安 武, 佐々木 規子
    2018 年 27 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    近年,遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome:以下HBOC)に対する診療体制の構築は進んでいる。特定の薬剤に対する効果予測因子として生殖細胞系列の遺伝子変異が用いられるようになれば,今後さらに遺伝性腫瘍診療の重要性が増すと予測される。遺伝性腫瘍診療の特徴として,発症した本人と発症疾患に限らず,症候群として他の疾患を発症したり,血縁者にも影響を与える点が挙げられる。現在,遺伝学的検査の多くが自費診療で高額であることから,希望者が全て遺伝学的検査を受けている状況ではない。このような状況のなかでも家族歴などの様々な情報から乳がんの発症リスクが高いと思われるハイリスクグループを拾い上げ,適切なサーベイランスを勧める必要があるが,その明確な判断基準はないのが現状である。今回,これまでの知見に加え,当院における遺伝性乳がん(HBOC・Li―Fraumeni 症候群含む)に対する診療体制を報告するとともに,現在ハイリスクグループとしてサーベイランスを行っている症例を提示しながら,ハイリスクの判断基準を検討したので報告する。より正確なリスク評価ができるように,将来的には希望者全てがBRCA1/2 遺伝学的検査を受けることができる環境を整える必要がある。
  • 増岡 秀次, 三神 俊彦, 桜井 美紀, 藤澤 純子, 吉田 佳代, 白井 秀明, 下川原 出, 浅石 和昭, 大村 東生, 亀嶋 秀和, ...
    2018 年 27 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    日本乳癌検診学会第24回学術総会,ワークショップ2「ハイリスク女性に対する検診をどうするか」において解析をした1)case およびcontrol の症例数を増やし,再度解析をした。2015年12月までに当院で手術を施行した原発乳癌4,854例(閉経前1,973例,閉経後2,881例)をcase,乳腺疾患のない当院外来受診者4,911例(閉経前2,696例,閉経後2,215例)をcontrol としてcase―control study を行った。35歳未満(case:166例,control:821例)についても検討した。35歳未満では症例の増加は11例,閉経前および閉経後では270例,514例の増加があり,結果にやや違いが見られた。 Stepwise 法による多変量解析の結果は,次のとおりである。 (1)35歳未満のhigh risk group:1.独身者,2.良性乳腺疾患の既往がある者,3.初潮年齢が11歳以下と早い者,4.乳癌の家族歴がある者 (2)閉経前:1.独身者,2.乳癌の家族歴がある者,3.初潮年齢が11歳以下と早い者,4.良性乳腺疾患の既往がある者,5.痩せの者 (3)閉経後:1.初潮が11歳以下と早い者,2.独身者,3.BMI が,18.5未満と痩せの者および30.0以上の肥満者 第24回学術総会と多少結果が異なる部分はあるが,概ね同様の結果であった。
第26回学術総会/ワークショップ1
地域での人材育成
  • 黒蕨 邦夫, 阿部 裕子, 山崎 理衣, 玉川 光春, 岡崎 亮, 岡崎 稔
    2018 年 27 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    札幌市ではマンモグラフィに関する知識と資質の向上を図ることを目的に,平成17年度より,札幌市の乳がん検診指定医療機関の読影医師および撮影技師を対象に年1回の研修会を実施している。今回,札幌市の乳がん検診の成績を見直し,研修会の効果と問題点を検討した。 検討方法は平成17年度から平成27年度までの11年間の札幌市の乳がん検診の成績(受診者数,受診率,要精検率,精検受診率,がん発見率,陽性反応適中度)の推移を検討した。 研修会参加人数は過去11年間で延べ読影医師457名,撮影技師551名が参加した。受診者数(受診率)は平成21年度に受診者数52,914名(受診率31.1%)とピークを迎え,以後上昇はしていなかった。要精検率および精検受診率では改善がみられた。がん発見率も上昇傾向を示し,平成27年度では0.43%であった。がん発見率の向上に加え,要精検率が改善されたことにより,陽性反応適中度は平成21年度より上昇傾向がみられ,平成27年度は8.39%であった。 研修会を継続して行うことが,検診精度の向上・維持するための一定の効果があることが確認された。読影医師および撮影技師に対し,年に1回の定期的な研修会を開催することは,検診従事者の知識,技術の向上に寄与し,読影医師の読影能力および撮影技師の撮影技術の向上・維持につながり,乳がん検診精度の向上に寄与するものと考えられた。
第26回学術総会/ワークショップ2
経過観察症例に対する地域連携
  • 増岡 秀次, 三神 俊彦, 白井 秀明, 下川原 出, 浅石 和昭, 野村 直弘, 森 満
    2018 年 27 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    近年の技術進歩に伴い,わが国の乳がん検診は画像診断が中心となっている。デジタルマンモグラフィのモニタ診断は普及し,過去の画像との比較読影が容易となった。検診および診療において,過去の画像との比較読影は参考となり重要である。どのような疾患においても病診連携は重要である。乳がん検診要精査例において治療の必要なしと診断された後の経過観察も必要であり,検診施設,精査施設との連携は大切である。 画像診断において,嚢胞,線維線種,過誤腫などの良性腫瘍は経過観察となる。特に細胞診あるいは組織診において良性と診断された症例も当然であるが適応になる。葉状腫瘍においては,良性・悪性・境界型があり大きな腫瘍で診断がつけば手術適応と考えられるが,小さな腫瘍では注意深い経過観察でもよいと思われる。 マンモグラフィにてカテゴリー3以下の症例。最近の過剰診断を考えると,カテゴリー3の数の少ない集簇の石灰化については経過観察でよいと考える。 まとめを次にに示す。 1.良性と診断されても定期的な検診は必要 2.そのためには比較読影は必須 3.情報を共有することで,検診施設での検診は可能? 4.情報を共有するための媒体が必要(CD―R,検診手帳など) 5.原則的には,紹介施設へ依頼(同一施設での検診を推奨) 異なる検診施設を受診した場合再度要精査となる可能性があり,情報の共有は重要でよりよい連携の構築に向けた努力が求められる。
第27回学術総会/シンポジウム2
  • 大住 省三, 青儀 健二郎, 高嶋 成輝, 高橋 三奈, 原 文堅, 清藤 佐知子, 松山 裕美, 金子 景香
    2018 年 27 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    PARP 阻害剤であるOlaparib の転移・再発乳癌での承認が間近とされる。この薬剤は乳癌の場合,遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の人にしかその効果を期待できない。そのため今後全国的に多くの転移・再発乳癌患者にBRCA 遺伝学的検査が行われていくと予想される。その結果,今までとは比較にならない数のHBOC 乳癌患者が見つかってくるものと思われる。HBOC は遺伝性疾患であるため,血縁者の中にHBOC の人がかなりいると思われ,その方々へのケアも重要である。今後血縁者への診療を進めていくなかで,乳癌未発症のHBOC 女性が多く見つかってくることになり,その方々に対する乳房サーベイランスを行っていく必要がでてくる。どのように乳癌未発症HBOC 女性に乳房サーベイラアンスを行っていくかが今後大きな課題として浮かび上がってくるであろう。四国がんセンターでは,遺伝カウンセラーを中心としたチーム医療でこの課題に取り組んでいる。四国がんセンターでのMRI を用いた乳癌未発症HBOC 女性に対する乳房サーベイランスの現状を報告し,その改善点についても考察する。
  • 青木 大輔
    2018 年 27 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer: HBOC)は,BRCA1 またはBRCA2 遺伝子(BRCA)の生殖細胞系列変異が原因の常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性腫瘍のひとつである。未発症者の場合,リスク低減卵管卵巣摘出術(risk-reducing salpingo-oophorectomy: RRSO)が最も効果が高い卵巣癌予防法として推奨され,卵巣癌のリスク低減効果のみならず卵巣癌や乳癌による死亡を低減し,さらに全死亡も低下すると報告されている。RRSO を希望しない場合はサーベイランスが行われることになるが,現時点では有効なスクリーニング法が確立しているとは言い難い。 一方,上皮性卵巣癌のおおよそ10~15%程度にBRCA 変異が認められる。BRCA 変異陽性の再発卵巣癌に維持療法としての高い効果が示されたpoly-adenosine diphosphate-ribose polymerase(PARP)阻害薬の使用に際してはBRCA の病的変異の検出が薬剤選択の際の有用な情報としての意義を有することになる。BRCA 遺伝学的検査の際には,特に未発症者に対しては遺伝カウンセリング等の配慮が必要だが,卵巣癌の治療という観点からもBRCA をはじめとした遺伝学的検査の重要性がますます高くなると考えられる。
  • 櫻井 晃洋
    2018 年 27 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    乳癌の一部は単一遺伝子の病的変異による遺伝性腫瘍である。その中の代表がBRCA1もしくはBRCA2の変異による遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer,HBOC)であり,これは遺伝性腫瘍のなかでももっとも頻度が高く,乳癌診療に従事する医療者であれば必ず遭遇する疾患である。さらに2018年には薬剤選択の可否を判断するために実施するBRCA1/2の遺伝学的検査(コンパニオン診断)も保険収載され,一般臨床に導入される。本稿では,乳癌診療にかかわる医療者にとって,HBOC に代表される遺伝性乳癌にどのように対応すべきか,現時点での医療の現状を踏まえて解説する。
第27回学術総会/シンポジウム3
  • 尾羽根 範員
    2018 年 27 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    日本乳がん検診精度管理中央機構が主催または共催する乳房超音波講習会では,受講者に使用装置を申告するとともに,日常の検査画像を持参してもらい,画質設定・検査手技についてアドバイスを行う「画像評価」という単元を設けている。その評価結果を集計した。 対象は2016年1月から2017年6月までに開催した医師対象12回・定員576名,技師対象6回・定員300名,合計18回の講習会受講者876名のうち,当日欠席を含め画像提出がなかった84名と自動走査式装置の使用4名を除いた,医師494名,技師294名,合計788名である。 使用装置に特に問題のなかったもの69.7%,購入後6~10年24.5%,10年以上経過したもの5.2%であった。探触子は94.8%が体表臓器用であったが,血管用探触子の使用が3.8%にみられ,0.4%には探触子に素子欠けなど損傷がみられた。ゲインやダイナミックレンジなど基本的な画質設定は受講者の約90%では大きな問題はなかったが,7%程度は不適切であった。また画像処理が強すぎるとしたものは7.0%であった。 検査手技では,フォーカスが適切だったのは58.9%にとどまり,40%以上が不適切と判断された。その他,該当するもののみの指摘となるが,フローイメージングに関してはROI が広すぎるもの11.9%,速度レンジが高すぎるものは18.4%であった。画像のブレや探触子の圧迫が強いなど走査が不適切なものはそれぞれ1~2%にとどまった点からは,静止画による評価の限界が推測された。
  • 三坂 武温
    2018 年 27 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    J-START の結果が出てから早くも2年経過し,ますます今後の検診への応用が重要視されるのが超音波検査である。しかしながら厚労省では,有効性は理解しているものの,この検査併用による死亡率の低下を確認できないことを理由に対策型検診への導入を認めていない。死亡率の低下に関しては,今後のデータを待つしかないが,精度管理の面や検診の効率の面から現状の超音波検診における問題点をABUS を使用した観点で比較し考察してみた。当院は,平成20年7月に開院し,任意型検診,一般診察を対象として超音波検査を行ってきた。また平成27年11月よりABUS を導入,検診,診察への応用を模索してきた。以前検診学会おいてHHUS との比較を行い,検出能(拾い上げ)には問題のないことを発表した。今回はテーマとして超音波診断の問題点としてテーマをいただいた。当院での経験例をいくつか紹介しながら,ABUS の利点,欠点,HHUS との違いを検討し,今後の検診への応用について考察した。またこれを踏まえて超音波検診における現状の問題点を報告する。
  • 宇佐美 伸, 大貫 幸二, 渡辺 道雄, 梅邑 明子, 高木 まゆ, 浅野 聡子, 立花 慶太, 和田 和賀子, 吉田 由貴, 狩野 敦
    2018 年 27 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    岩手県対がん協会では,平成23年度より40歳代にマンモグラフィ(MG)と超音波検査(US)の併用検診を導入している。本検診は出張検診では導入が容易でないとされている同時併用検診を採用し,その結果は総合判定を行ったうえで要精検者を決定している。その実施方法の詳細と検診成績,問題点について報告する。平成23年から27年度に併用検診を実施した8,386名中,MG 単独では282名(3.4%)が要精検と判定された。US による要精検者を単純に加え独立判定を行った場合392名(4.7%)が要精検となるが,総合判定の結果243名(2.9%)まで減少した。発見癌は31例(発見率0.37%),陽性反応適中度は12.8%であった。年次推移をみると,導入初期の平成25年度まではUS のみで発見される乳癌の検出は低率(0.03%)であったが,平成26年度以降上昇(0.26%)した。これは導入当初は必ずしも経験が豊富ではなかった検査技師の病変検出力が向上した結果と考えている。総合判定の際に問題となるのは,MG 上腫瘤の辺縁が確認できた症例でUS 所見なしとされた場合や,MG・US それぞれで描出されている病変が同一かどうかという場合などであるが,比較読影と検査時の全走査を記録したUS 動画の参照は極めて有用であった。
原著
  • 小沢 芳博, 藤光 律子, 島倉 樹子, 富永 香織, 西川 麻美, 上野 登喜生, 田中 稔, 吉満 研吾
    2018 年 27 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    ステレオガイド下吸引式乳房組織生検(以下ST―VAB)のUP―right 式による入射角度は,vertical 法やcranial 法があり,手技によって撮影回数が増え,患者の被ばく線量が多くなると考えられる。しかしST―VAB による被ばく線量を示した報告はない。本研究ではUP―right 式側臥位生検(以下側臥位法)での確定的影響の評価を目的として,入射角度vertical 法とcranial 法それぞれの入射皮膚線量と水晶体線量の測定を行い検討した。 乳房部にPMMA ファントム(10mm×4枚)を用い,人体ファントムを側臥位で固定した。PMMA 入射表面と水晶体部にガラス線量計を配置した。線量測定は,ステレオ撮影も含め自験例全体の平均撮影回数13回で行った。vertical 法,cranial 法の入射皮膚線量は,81.95mGy,85.24mGy,水晶体線量は0.013mGy,0.028mGy であった。入射皮膚線量においては,cranial 法で軽度増加を認めたが,水晶体線量では入射口が近くなるcranial法での線量が約2倍であった。以上より,UP―right 式側臥位法でのST―VAB は,確定的影響のない低線量領域内で行われていることが明らかとなった。しかし,被ばく線量を抑える意味で入射角度は,vertical 法で行うことが望ましく,撮影回数を減らす工夫が今後の検討課題である。
  • 三好 和也, 高橋 寛敏, 中川 富夫, 野村 長久
    2018 年 27 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    石灰化病変に対するステレオガイド下吸引式乳腺組織生検(ST―VAB)の適応の評価を行うことを目的として,マンモグラフィ所見と病理診断結果を検討した。超音波ガイド下経皮針生検が困難で,2009年1月から2016年12月までに,ST―VAB で採取した乳腺組織により病理診断を得た,カテゴリー3ないし4の石灰化病変152例を対象とした。対象152例のうち,42例が乳癌と診断され(悪性率28%),そのうち36例が非浸潤性乳管癌であった。ST-VAB を行うにあたっては,必要性の低い検査を避けるために,マンモグラフィの適切なカテゴリー分類を行い,ST―VAB の適応をむやみに拡大しないことが重要である。カテゴリー3の,淡く不明瞭・集簇性石灰化(悪性率0%)と微小円形・区域性石灰化(悪性率14%)では,悪性率が低いので,ST―VAB の適応は慎重に行う必要がある。分布範囲10mm未満の微小円形・集簇性石灰化では,悪性率20%と低い傾向にあるが,悪性度の高い非浸潤性乳管癌や,少数ながら浸潤性乳管癌も混在したことから,ST―VAB を避けるべきではないと考える。悪性の危険が低ければ,十分なインフォームド・コンセントのうえで,ST-VAB を急がず,経過観察することが可能である。ただし,その症例は限定的で,経過観察が許容される非浸潤性乳管癌の特徴が確立されていない現状では,実際の症例選択は難しいと思われる。
  • 服部 照香, 森田 孝子, 丹羽 多恵, 遠藤 登喜子
    2018 年 27 巻 1 号 p. 68-76
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    乳がん検診の精度管理にとって画像診断装置と記録画像の品質管理は必須である。マンモグラフィでは装置の受け入れ試験,日常管理および画像評価により,装置の性能,使い方,撮像技術を総合的に判断されているが,超音波では,装置や評価基準は決まっていない。日本乳腺甲状腺超音波医学会の『乳房超音波診断ガイドライン』には,所見がない場合も1枚以上の画像を記録すると記載があり,この日常検診時に残した正常乳房画像で画像評価が可能かを検討した。次に,評価用超音波画像を追加収集するとした場合,それが可能か,どのような撮像方法と乳房の構成を選択すべきか,検診施設へアンケートを含め検討した。名古屋近隣の検診5施設の日常検診時の記録画像を評価の結果,1画像ではコントラストや乳房構造を客観的に評価できなかったが,乳頭を含む放射状方向の2画面連続画像では,評価可能であった。さらに愛知乳がん検診研究会関連18施設へ乳房厚1cm,2cm(乳腺が委縮していない画像と萎縮している画像),3cm の4種類の乳房の12:00―6:00方向,7:30―1:30方向2画面連続画像を作成提供してもらい,画像評価と収集時の状況についてのアンケート調査を行った。乳房厚3cm の画像は,画質以外に装置の操作についての評価にも有用で,乳頭-7:30方向の画像は撮像技術評価に適していた。アンケート結果から画像評価用に追加可能な画像は4枚,収集期間は約2か月という結果であった。
  • 船山 和志, 久保内 光一, 土井 卓子, 水野 恭一
    2018 年 27 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル 認証あり
    対策型の乳がん検診において,マンモグラフィ検査で高濃度乳房と判定された場合に受診者に通知するべきかどうかが近年話題となっている。視覚による乳房の構成の判定には不確実性が存在するといわれているが,国内の大規模な対策型検診における状況は明らかではない。そこで,通知体制構築の際の参考とすることを目的に,われわれは横浜市の対策型乳がん検診受診者66,831名において,読影医ごとの高濃度乳房と判定した割合を比較したところ,有意に異なっていた(P<0.01)。また,読影医が高濃度乳房と判定する割合は,受診者が40歳代では最も少ないものが5.9%,多いものが97.8%,50歳代では2.3%~97.6%,60歳代では2.0%~97.6%,70歳以上では2.0%~95.5%と大きな幅があった。このことから,わが国で通知体制を構築する際には,判定の精度向上策や受診者への判定の不確実性の周知方法を検討する必要があると思われた。さらには,通知体制構築のためには高濃度乳房への受診者の理解を深めることと,読影医が受診者への通知を意識して乳房の構成を判定することが重要と考えられた。
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