抄録
乳腺invasive micropapillary carcinoma (以下,IMP)は高率にリンパ節転移,リンパ管侵襲を伴う予後不良の乳癌として1993年に提唱され,わが国においては乳癌取扱い規約第16版に記載された乳癌特殊型である。取扱い規約記載後,その報告例は増加しているが,IMPとしての臨床的特徴は乏しい。また局所再発や不良な予後への配慮から乳房切除術の報告が多い。今回,高齢者の検診発見IMPを経験したので報告する。広範囲に及ぶ乳管内進展および転移リンパ節を術前診断することはできなかったが,断端陰性は確保できた。診断の困難さと特徴を述べたい。検診においても癌の進展や治療を考えながらの診断が必要と考えさせられる症例であった。