日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
Print ISSN : 0918-0729
ISSN-L : 0918-0729
“受けてよかった乳がん検診”にするための工夫
精査施設における乳がん検診
診断から治療まで
増岡 秀次 九冨 五郎三神 俊彦桜井 美紀藤澤 純子吉田 佳代白井 秀明下川原 出浅石 和昭島 宏彰前田 豪樹大村 東生亀嶋 秀和三原 大佳野村 直弘森 満
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2016 年 25 巻 1 号 p. 20-26

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抄録

2015年のがん統計予測では,女性乳癌の罹患数は89,400人,死亡数は13,800人と予測した。乳癌は女性のがんの中で一番罹患数の多いがんである。しかしながら,2013年の検診受診率は34.2%で未だに低い受診率である。乳がん検診の受診者数が増加しない理由を内閣府のがん対策世論調査結果では,「受ける時間がないから」「がんと分かるのが怖いから」が上位を占め,意識の問題として「マンモグラフィに対する恐怖心」「医療従事者が男性」が挙げられている。 当院では看護師がリラックスさせ,話しやすい雰囲気をつくりながら問診をとる。検査では,女性の放射線技師,超音波検査士が,事前に受診者に検査の内容について説明し,「不安」「緊張」をほぐしながら検査をしている。結果は即日受診者に説明している。繰返し受診者に対しては,過去の画像と比較読影し説明している。さらにマンモグラフィと超音波による総合判定を行っている。要精査率が低下し,次回の検診に廻すことができ,受診者にとっては負担が少なくなり,「受けてよかった乳がん検診」に貢献するものと思われる。当院では検診・診断から手術,術前後の補助療法,再発後の治療,緩和医療までチーム医療体制をとっている。それぞれのスタッフが種々の役割を担っている。検診・診断の時期からcare は始まっている。受診者が安心して検診を受けられる体制づくりをしている。

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