日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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過剰診断について考える
過剰診断についての病理学的推考(抄録)
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電子付録

2016 年 25 巻 3 号 p. 245-247

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抄録
本シンポジウムでの『過剰診断』の定義は「生命予後に関わらない癌を検出して治療すること」であるが,病理診断領域での『過剰診断overdignosis』とは「良性病変を悪性と診断すること」であり,誤診を意味する。用法の違いにより混乱を生ずるのではと危惧する。『過剰診断』に相当する乳癌は? ですぐに思い浮かぶのは平坦型・低乳頭型の低核異型で,ER(+)PgR(+)HER2(0)のDCIS である。間質に浸潤しても管状癌様の低悪性度の浸潤癌となり,なかなか生命予後に影響を及ぼさないものと推察される。ここで考慮が必要なのは,宿主の年齢・状態,針生検での診断である。高核異型トリプルネガティブ面疱型DCIS でも条件によっては『過剰診断』乳癌となり得る。針生検標本の組織像が病変全体像(間質浸潤の有無,病変の広がり,組織像の多様性)をどれくらい反映しているかが問題である。『過剰診断』防止法は,1)検診を行わないグループの設定,2)検出基準の引き上げ,3)生検適応基準の引き上げ,4)癌の診断基準の引き上げ,5)癌の治療適応基準の引き上げ,であろう。4)が病理学的因子であるが,前立腺癌のように浸潤癌のみを癌と診断することの是非についても考察したい。
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