日本乳癌検診学会誌
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第30回学術総会/特別企画1 マンモグラフィ検診の20年
対策型乳がん検診の歴史とこれから
大内 憲明
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2021 年 30 巻 1 号 p. 1-4

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抄録

対策型がん検診の法基盤は健康増進法にあり健康増進事業として実施されている。がん検診の指針は,厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会」における議論を経て必要な見直しが行われている。 一方,わが国の乳がん検診の歴史は1960年代に遡り,1987年に第2次老人保健事業として問診および視触診による検診が開始された。この頃の世界の乳がん検診は,RCT で死亡率減少効果が示されたマンモグラフィ検診であった。日本でも1990年頃から評価研究が行われ,2000年度から50歳以上に,2004年度から40歳代に導入された。マンモグラフィ導入後,20年が経過した。 国のがん対策推進基本計画は第三期(平成30年~)に入っているが,「がん検診のあり方に関する検討会」では,今後のがん検診のあり方について協議を重ね,基本条件や検診の利益・不利益等の議論を行い,1)指針の見直しの方向性,2)2021年度以降のがん検診,3)新たな検査項目の指針への導入を検討するに当たっての基本的な考え方について,2020年3月に中間整理した。 現在の乳がん検診のモダリティであるマンモグラフィは万能ではない。新たながん検診検査法の研究開発,評価が必要であり,J―START で40歳代における超音波検査併用の有効性が検証されている。優れた研究成果をスピーディに政策に反映できるよう,効率的で公平に導入可能な,新たな評価の仕組みが必要になっている。

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