日本乳癌検診学会誌
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第30回学術総会/パネルディスカッション2 乳がん検診でAIをどのように使えばよいのか
AIによるマンモグラフィの病変検出
井上 謙一
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2021 年 30 巻 2 号 p. 131-136

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抄録
[背景]乳癌検診においてマンモグラフィは中心的な検査であるが,個人により読影の精度は大きく異なる。マンモグラフィをAIで自動読影できれば,正診率の向上や検診の効率化,負担の軽減に繋がると思われる。自施設でAIの構築を試みたところ良好な成績を収めたため,複数の機器メーカー画像でも同程度の結果を得られるか検証した。 [対象と方法]特定非営利活動法人研究グループ KBOG(Kanagawa Breast Oncology Group)において多施設共同研究による臨床試験「畳み込みニューラルネットワークを用いた,マンモグラフィの自動読影判定に関する多施設共同研究」を立ち上げた。神奈川県内の9施設から千例を超える症例を集積した。マンモグラフィ画像から切り出し画像を作成し,AIに学習させた。 [結果]切り出し画像に対する精度は,正診率81%,感度88%,特異度74%,AUC 0.880であった。またこのAIをインターネット上に構築し,悪性を疑う部分を赤く光らせることで病変の検出をサポートできるようにした。 [考察]マンモグラフィ読影時にAIを用いたCADがあれば見逃しリスクを軽減でき,日本全体の精度の底上げが期待される。今後の画像診断はAIの補助が必須となることが予想される。AIを検診業務に導入することで,今後の画像診断のあり方が一変する可能性を秘めていると思われた。
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