抄録
福井県ではこれまで医師会および外科医会が主体となり, 行政, 検診機関, 市町村との良好な協力体制のもと, 県単位での乳癌視触診検診を実施してきた。今回, マンモグラフィ導入にあたり, 当県の取り組み状況を述べ, 問題点を考察した。
平成12年4月以降, 外科医会が中心となり, 行政 (県健康増進課), 検診施行機関 (財団法人福井県健康管理協会) と協議し, 検診方式の決定 (検診車出張方式による分離併用A方式), 機器の購入 (マンモグラム撮影装置搭載車1台), 登録システムの整備, 検診票の作成を行った。医療関係者に対しては, 外科医会の講演会を通じて, マンモグラフィ導入の経緯, 読影医師・撮影技師・機器基準などの説明を行い, マンモグラム読影勉強会 (読影実習) を開催した。市町村の検診担当者や地域住民に対しては公民館活動やJA婦人部定期集会などを通じての啓蒙活動を頻回に施行した。以上の取り組みのもと, 平成13年11月より, まず6市町村でマンモグラフィ併用検診を開始し, 平成14年度には県下全市町村に拡大する予定である。今後は, 検診車の充足, 2次検診機関の選定, 個別 (施設) 検診の取り扱いなどが検討課題である。新たな検診システムの導入には, 行政, 検診施行機関, 市町村, 医師会の密接な連携と協力が必須で, これらの達成のためには医師会の積極的な関与が重要である。