日本乳癌検診学会誌
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穿刺吸引細胞診から根治術に至る適切な期間に関する検討
時間差によるリンパ節微小転移発現を指標として
木下 智樹内田 賢野木 裕子塩谷 尚志川瀬 和美鳥海 弥寿雄武山 浩吉田 和彦永田 徹山崎 洋次小峰 多雅
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2003 年 12 巻 3 号 p. 266-270

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抄録

[目的] 穿刺吸引細胞診 (FNA) から根治術に至るまでの適正な期間推定を試みた。
[対象・方法] 1989年~1991年の当院における女性初治療乳癌のうちFNA陽性, 通常の病理組織学的検索でリンパ節転移が認められなかった59例を対象とした。コントロールとして, 同時期にFNAが施行されずに根治術が行われた30例を選択した。既存のリンパ節パラフィン包埋ブロックから新たにH&E, IHC染色を行い, リンパ節微小転移を検索した。転移ありをevent case, 転移なしをcensored case, FNA~手術の期間をtime to eventとし, Kaplan-Meier法による解析を実施した。最悪でもコントロール群の微小転移発現率を超えない期間を算出した。
[結果] 微小転移ありは5例 (コントロールでは1例) であった。FNA~手術期間は各々13, 17, 20, 26, 30日で, コントロール群の微小転移発現率3.3%からcutoff値0.97とすると, 13日目で0.98 (95%CI : 1.0~0.94), 17日目で0.94 (同1.0~0.88) であった。
[結論] FNAから手術までの期間は概ね2週間を超えないことが望ましい。

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