日本乳癌検診学会誌
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圧迫乳房モデルによる乳腺平均吸収線量の検討
藤崎 達也熊谷 曜子
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1997 年 6 巻 3 号 p. 291-298

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抄録

乳癌検診に乳房撮影が導入されてきているが, 乳房撮影ではX線による被曝が不可避である。乳癌検診のように多人数に対して乳房撮影を行う場合, それらの平均被曝線量を把握しておくことは施設間の比較の上からも重要である。
乳腺平均吸収線量を正しく評価するには一般的な圧迫乳房の大きさを把握し, その変換係数を算出する必要がある。このため, われわれは圧迫乳房の大きさおよび構造について調査した。その結果, 胸壁での半径の平均は7.84cmで標準偏差1.15cm, 奥行きの平均は6.19cmで標準偏差1.62cm, 圧迫乳房厚の平均は3.82cmで標準偏差1.25cmおよび腺組織含有率の平均は42.8%で標準偏差12.2%であった。
それらのデータから, モンテカルロ計算を用いて変換係数を算出し, 諸家の報告値と比較検討した結果, -4~+6%となった。これらはモンテカルロシミュレーションにおける圧迫乳房モデルや計算方法の相違と考えられた。したがって, 圧迫乳房の大きさを把握し, それらのデータから空気カーマや照射線量の測定位置を決定した上で変換係数を算出しなければならない。また, 乳房撮影において, 圧迫板の使用は不可欠であり, 変換係数算出のための圧迫乳房モデルには圧迫板を付加する必要があることを示した。

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