抄録
本稿では特定非営利活動法人(以下,NPO法人とする)の収益の側面に着目し,営利組織(企業)と同じ一取引一仕訳の複式簿記が推奨される理由を示すとともに,NPO法人に特有の取引である寄付の受領(とくにボランティアによる役務提供の受領)に関する仕訳の特徴および活動計算書への計上の意義について検討した。一般的に取引8要素の結合関係の側面からは収益と費用を同時に計上する取引はほぼないと説明されるが,NPO法人のボランティアによる役務提供の受領時には費用と収益の同額かつ同時計上が行われる。本稿において,NPO法人ではサービスを実施するために,「サービスの購入額」を「寄付として受け取る」取引が存在し,当該取引では収益の発生と費用の発生が不可分の関係にあるとした。当該取引を活動計算書へ計上することによりNPO法人の活動全体を示すことが可能となり,アカウンタビリティの履行につながると考える。