2006 年 26 巻 p. 131-139
今回の共同研究の目的は、九州における高齢者の消費者被害状況を分析し、消費相談窓口から高齢者の「福祉」の実現の一端を考察するものである。介護保険法の施行から5年間の経過をみたことから、介護サービスに関する相談や苦情が、消費生活センター相談窓口に寄せられているかの確認をする。九州8県の消費生活センターが公表した平成4年度から平成15年度分の事業報告書を分析した。結果は, 以下の通りである。 1) 現時点では、消費者相談窓口の相談者である高齢者は、介護サービスに関する苦情を消費者問題とは認識していない。 2) 消費者被害を受けた高齢者は、自宅で各種の消費者被害にあっている。 3) 消費者被害を受ける可能性のある高齢者への支援は、高齢者の自宅に出向いて行うという方策をとる必要がある。