中部消費者教育論集
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単身者世帯の家計消費にともなうCO2排出量分析による持続可能な社会のための消費者情報
大藪 千穂
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2005 年 1 巻 p. 25-36

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抄録
本研究では、近年増加傾向にある単身者世帯に焦点をあて、地球温暖化の主要因であるCO2排出嶽を、家計消費の個票データから算出し、費目別排出量の分布、性別・年齢別排出最、支出金額と排出最との関係を明らかにした。この結果、排出量が多いのは、食料、光熱•水道、交通・通信、教養娯楽の4費目であった。食料は外食、交通・通信は自動車関連の排出最が多くなった。性別では、男性の排出量は女性よりも多く、特に交通・通信の自動車関連からの排出量が大きい。一方、女性は光熱・水道からの排出量も同様に大きく、食料では、外食以外に油脂・魚介類からの排出量も大きくなっていた。年齢別では、男女とも若年層で交通・通信と教養娯楽からの排出蓋が多くなっていたが、男性は自動車関連からの排出、女性は交通からの排出、教養娯楽に関しては、男女共に教養娯楽サービスからの排出が影響していた。中高年層は男女ともに、光熱•水道と食料の排出量が大きく、これらは一般外食と電気、ガスからの排出量が影響していた。支出金額と排出嚢との関係を見ると、特に光熱・水道と交通・通信は、支出金額に対して排出量が大きいことが明らかとなった。消蓑者は、費目別排出最の分布図から、自分の位置を知ることによって、自主的に削減すべき費目や品目を決定することが可能となる。このような生活に関連した環境情報こそが、持続可能な社会のための消費者情報であり、それらを用いた消費者教育が今後必要と考えられる。
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© 2005 日本消費者教育学会中部支部
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