2005 年 32 巻 2 号 p. 59-65
近年注目を浴びている有機エレクトロニクスの今後の展開には,デバイス特性向上のための結晶性の高い薄膜の作製がキーポイントとなる.新規半導体材料であるGaNやZnOでは,バッファー層の導入を始めとする様々な手法がブレークスルーとなって,実用化への道が開けたことからも,有機薄膜においても類似のコンセプトによってブレークスルーをもたらす可能性があると考えられる.我々はπ共役有機薄膜に対して,従来のバッファー層の役割である格子ミスマッチの緩和とは異なる概念でバッファー層の導入を行うことにより,成長様式の制御と結晶性の向上を図ることができた.デバイス応用を視野にいれた有機薄膜の配向制御という観点で最近の研究状況を報告する.