日本結晶成長学会誌
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剛体系の固体-流体相転移に与える多分散性の影響について(<特集>ナノからサブミクロンサイズ粒子の結晶化と構造形成)
渡辺 宙志能川 知昭伊藤 伸泰
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2009 年 36 巻 2 号 p. 120-128

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抄録

乱雑さが秩序構造や相転移に与える影響の例として,粒子の大きさが一様でない多分散剛体粒子系の融解転移について報告する.粒子の大きさが一様でない,すなわち系が多分散性を持つことにより導入される乱雑さは,ガラスやコロイド,粉体などの物性に重要な影響を与える.粒子径がそろった状態(単分散)から,徐々に粒径分散を大きくしていくと,乱雑さにより固化が阻害され,融点が高密度側にずれていく.そして,分散がある大きさを超えると融解転移は消失し,さらに分散を大きくすると,系はガラス状態になると考えられている.しかし,この臨界分散は相図のどこにあるのか,融点の消失点での物性はどうなっているのか,消失点のまわりで系はどのような状態(相)にあるのか,そもそもなぜ融解転移は消失するのかなど,分かっていないことは多い.本稿では多分散系における融解転移について,系の非平衡緩和過程から解析した結果について紹介する.

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© 2009 日本結晶成長学会
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