2003 年 1 巻 1 号 p. 25-31
本研究では、発達性協調運動障害(以下、DCD)のある幼児に、運動協応性を必要とする両手でのボール転がし課題を実施して、その練習段階における学習を検討した。DCDが疑われる幼児9名(DCD群)と統制群9名(CON群)とを抽出し、対象児には、2種類の練習課題の後、新奇なテスト課題を実施した。DCD群はCON群よりも低成績だったが、両群とも練習により成績は向上しており、特にDCD群の成績は大きく変動していた。DCDのある幼児は、新奇な課題には順応が容易ではなく、以前の練習による経験が想起されるまでに時間を要するが、練習によってある程度のパフォーマンスの向上を望めることが示唆された。