日本応用動物昆虫学会誌
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培養したカイコの卵に対する核型多角体病の感染
高見 丈夫杉山 八郎北沢 敏男神田 俊男
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1966 年 10 巻 4 号 p. 197-204

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抄録

卵殼を除去した蚕卵は培養が容易で,これに核型多角体病ウイルスを接種すると種々な組織に多角体の形成が認められた。現在までに多角体形成を確認した組織は漿膜,卵黄細胞,羊膜,皮膚,気管被膜,神経球,前腸,後腸,絹糸腺,筋肉,脂肪体,生殖腺,血球,中腸で,この中には,幼虫では多角体形成のきわめて起こりにくいとされているものも含まれている。
この結果により,卵培養は,外部からの感染をほとんど完全に防いでウイルスの実験ならびに継代を行なうのに有効な方法の一つであると考え,その方法を詳述した。
多角体の形成と組織の生理機能との関係および組織に対するウイルスの親和性の問題などについての興味にも言及した。

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