日本応用動物昆虫学会誌
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タマナヤガ,カブラヤガの卵,幼虫期の発育と温度との関係 (予報)
長谷川 勉千葉 武勝
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1969 年 13 巻 3 号 p. 124-128

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抄録

タマナヤガとカブラヤガの両種について,卵,幼虫期の発育と温度および日長との関係を検討した。その結果を要約すると次のとおりである。
1. 卵期は15∼30°Cにおいては両種とも温度の上昇に伴って短縮し,発育速度と温度との間には直線関係がみとめられた。発育下限温度と発育有効積算温度はタマナヤガでは11.3°C, 56.5日度,カブラヤガでは11.0°C, 78.7日度であった。発育下限温度にはほとんど差はなかったがタマナヤガはカブラヤガより卵期は短く,特に高温になるに伴って両種の差がひらく傾向がみられた。
2. 幼虫期に長日,20∼30°Cの間でラジノクローバーを与えて個体飼育した結果,卵期の場合と同じく,発育速度と温度との間に直線関係がみとめられた。発育下限温度と発育有効積算温度はタマナヤガでは5.6°C, 387.3日度,カブラヤガでは4.2°C, 589.0日度となり,卵期と同様にタマナヤガでは特に高温になるに伴って発育経過がカブラヤガより速くなる傾向がみとめられた。
3. 幼虫期を18°C全暗,あるいは23°C, 26°C短日飼育の結果,カブラヤガでは発育がいちじるしく遅延する個体が現われた。タマナヤガでは発育遅延はみられなかったが蛹体重は長日区に比べて短日区では一般に軽かった。

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