日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
カメノコロウムシの防除適期に関する研究
西野 敏勝大串 龍一
著者情報
ジャーナル フリー

1969 年 13 巻 3 号 p. 135-141

詳細
抄録

1. カメノコロウムシの防除適期の決定に必要と思われる2, 3の生態に関する調査をおこない,またPMP水和剤とフッソール液剤の防除適期を,1令と2令,3令,それぞれ前期と後期に分けて検討した。
2. 1令幼虫(ふ化幼虫)の初発は地域,年によってずれを生じ,最も早い三和町では6月1∼2半旬,最も遅い対馬では6月3∼4半旬で約10日間の差がある。三和町と対馬は年平均気温で約2°C違っている地域である。初発からピークまでの期間は10∼18日程度である。
3. 発育段階別の発生消長調査から,発育期間は1令幼虫が20∼34日,2令幼虫が30∼40日,3令幼虫が40∼54日程度である。さらに,発育段階別の発育期間を推定した。
4. 雌の3令幼虫以後,すなわち,8月中旬∼9月上旬にかけて,葉から枝への移動が開始され,以後12月までほぼ直線的に枝部の寄生率が増加する。7月までは95%以上の虫が葉に,12月には逆に85%以上が枝に寄生している。
5. PMP水和剤は2令幼虫に生育した直後が防除適期で,1令幼虫の初発から約20日∼34日目である。フッソール液剤の効果はすぐれ,3令幼虫の初期まで有効であるが,的確な防除時期は2令幼虫の後期で,1令幼虫の初発から約50日目である。

著者関連情報
© 日本応用動物昆虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top