日本応用動物昆虫学会誌
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ダイズ加害におけるダイズシストセンチュウと根粒菌の関係
岡田 利承
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1969 年 13 巻 4 号 p. 167-173

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抄録

生育初期のダイズにダイズシストセンチュウとダイズコンリュウキンを,接種時期を変えて,単独あるいはいろいろに組み合わせて接種し,線虫の寄生と根粒菌の着生の相互関係およびダイズの生育におよぼす両者の影響について検討した。
1) ダイズシストセンチュウ2期幼虫の侵入数は,ダイズ播種時に根粒菌を接種した株で,根粒菌無接種の株よりも多くなる傾向を示した。
2) 根粒の着生は線虫が高密度に寄生した株で,線虫無接種の株よりも遅れ,着生根粒の総体積が小さかった。特に根粒菌と同時に線虫を接種した場合に影響が大きかった。
根粒着生の遅れは,線虫が寄生してから一時的にダイズの根が根粒菌の侵入に都合の悪い条件になるためと考えられ,線虫が高密度に寄生した株では,根粒数が遅れて増加し,着生部位が広がる傾向を示した。
3) ダイズ地上部の全窒素量は,線虫無接種の場合,根粒体積の増加後約2週間遅れて増加したが,線虫が高密度に寄生した株ではこれよりもさらに1∼2週間遅れて推移した。
葉色は地上部の全窒素含有率を反映して変化し,根粒菌のみを接種した株では接種6週間後から緑色に向ったが,線虫の寄生密度が高い株では回復が遅れ,根粒菌の接種が遅い場合には黄化が特にひどくなった。
4) ダイズの生育におよぼした根粒菌の影響は大きく,早く接種した場合ほどダイズの生育は良くなり,線虫の被害は軽くなった。これに対し線虫の影響は主として根粒菌の効果をその出現初期に抑制することで,根粒菌と同時に接種した場合に最も被害が大きくなった。しかし地下部では褐変や根系の縮少などの線虫による直接的被害がみられた。

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