抄録
1. アワヨトウの大発生の実態を1941∼1968年の全国的発生記録と1957∼1968年の秋田県の発生記録について検討した。
2. アワヨトウの大発生は局地的におこり,この局地性は必ずしも幼虫のえさとして好適な作物が局地的に分布するためにおこるとはいえない。
3. このような大発生地点は,秋田県または全国的な規模からみると,大発生地点の多い年には集中的に分布する傾向をもつ。
4. 大発生地点の位置は年,世代,発生時期によって異なり,同じ地点でつづけて次の世代に大発生がおこることはない。
5. 全国を北海道・東北地方,関東地方,中部地方,近畿地方,中国・四国地方,九州地方の6地方にわけ,大発生のおこりかたを年次的に比較すると,数地方を含む広い範囲で同時的に発生する年と,限られた地方に大発生がおこる年とがある。
6. 1年のうちで大発生のおこる時期を全国の地方別に比較すると,地方によって大発生のおこりやすい時期は異なるが,大まかにみて,北海道・東北地方と関東地方,中部地方と近畿地方,中国・四国地方と九州地方がそれぞれ似ている。