1971 年 15 巻 1 号 p. 17-22
数品種のカイコ幼虫,主として金色の幼虫を供試して,紫外線致死に対する一つの令中の感受性の変動を明らかにするために実験を行ない,次の結果を得た。
第1令∼第3令の紫外線致死に対する感受性には,一つの令を周期とした変動がみられ,令の前半および末期の感受性は極めて低く,令の約60%経過時に最高の感受性を示した。
この感受性の最も高い時期は致死障害のcritical organと考えられる真皮細胞のDNA合成後期にあたっていた。
また紫外線による致死障害には,部分的ではあるが顕著な光回復がみとめられた。
以上の結果にもとずき,カイコの紫外線による致死障害を微生物などのそれと比較検討し,光回復性の障害は真皮細胞の核ないしDNAの障害に起因するものであろうと考察した。