日本応用動物昆虫学会誌
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家蚕消化液赤色螢光蛋白の生合成について
林屋 慶三西田 順川本 文彦
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1971 年 15 巻 3 号 p. 109-114

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抄録

桑育蚕消化液中に,家蚕核多角体病ウイルスを不活性化する作用をもつ赤色螢光性蛋白が存在する。本蛋白は複合蛋白で,胆汁色素系統とみられるクロモフォアと蛋白とからなっており,家蚕中腸においてすでに生合成されており,中腸前部から消化液中に分泌されるものと考えられる。人工飼料育蚕消化液中にも本蛋白と酷似で赤色螢光性を欠く蛋白が存在する。蛋白のクロモフォア部分は飼料から由来するものと考えられ,人工飼料に緑葉クロロプラストを添加した場合に,消化液に分泌されるこの蛋白には赤色螢光性が具わっている。
終りにのぞみ,免疫学的実験には京都大学理学部荻原博士,アイソトープ実験には武田薬工・岡内哲夫氏に御指導,御援助を賜ったことを記し,謝意を表します。

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