日本応用動物昆虫学会誌
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ツマグロヨコバイにおけるカーバメート系殺虫剤抵抗性とその機構
浜 弘司岩田 俊一
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1973 年 17 巻 3 号 p. 154-161

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抄録

ツマグロヨコバイの中川原系統におけるカーバメート剤抵抗性は薬剤に対するChEの感受性低下がおもな原因であると考えられているが,この現象が本種のカーバメート剤抵抗性の機構として一般的なものであるか否かを他地域で発生しているカーバメート剤抵抗性個体群について検討した。
広島,熊本,鹿児島県の七つの抵抗性個体群はカーバメート剤に対し中川原系統と同等かやや低い抵抗性発達を示し,またそれらの個体群の抵抗性スペクトルは中川原系統と同様の傾向を示した。
P.b., TOCP, TPPの3種化合物のカーバメート剤に対する共力作用はいずれの個体群でも顕著でなかった。
抵抗性個体群のChE活性は吉田個体群がやや高いほかはほぼ同等であったが,そのカーバメート剤に対する感受性はいずれの個体群も感受性系統に比べると著しく低かった。ChE活性の感受性低下は高い抵抗性を示したPHCに対して著しかった。
大洲個体群ではカーバメート剤の薬量-死虫率曲線で死虫率70%付近にプラトウが認められ,さらにChEのカーバメート剤に対する感受性も低下していた。
以上の結果から,供試した個体群のカーバメート剤抵抗性は中川原系統と同様なChEの薬剤に対する感受性低下がおもな原因であると考えられる。

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