1975 年 19 巻 4 号 p. 285-289
沖繩本島に侵入したモンシロチョウの個体群密度を低下させる目的で,1974年10月アオムシサムライコマユバチを,1975年1月モンシロチョウ顆粒病ウイルスを導入した結果を生命表データを基礎として検討した。両種ともほ場で繁殖をくりかえし,冬を含め10ヵ月間(1975年7月現在)繁殖を続けた。アオムシサムライコマユバチ単独放飼の場合世代死亡率は,やや上昇したように見えるが,成虫羽化数への影響は明らかでなかった。顆粒病ウイルスもともに作用した場合には世代死亡率が上昇し,産卵数に比して5齢幼虫数が減り,また羽化虫数は著しく減少した。本試験で天敵を放飼した範囲が小さいため,成虫の侵入によって産卵数にはほとんど変化がなかったが,広範囲に放飼を行なえば密度を低下させうる見通しが得られた。