日本応用動物昆虫学会誌
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ハスモンヨトウの処女雌トラップによる発生消長調査
宮原 義雄島津 光明和田 節
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1977 年 21 巻 2 号 p. 59-65

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抄録

処女雌トラップを用いてハスモンヨトウ雄成虫の消長を調べるとともに,誘殺消長とほ場における発生との関連を明らかにするため,サトイモにおける産卵を1972年から1975年までの4年間,筑後市で調べた。その結果,処女雌トラップによる誘殺は早い年では3月末からみられ,その後誘殺はつづき,その終期は12月上旬でった。この間,5世代の発生が推定された。これらの世代の誘殺数は,季節の進行にしたがって増加した。処女雌トラップの誘殺数を20Wのブラックライトのそれと比べると,処女雌トラップにはブラックライト(雄)の81倍の誘殺がみられた。両トラップの誘殺消長には類似性はみられず,処女雌トラップでは世代が識別できたが,ブラックライトでは識別できなかった。処女雌トラップはブラックライトに比べた場合,野外の低密度時により効率的に誘殺した。サトイモへの産卵は7月以降に第3回成虫による産卵から発見され,8月下旬から9月上旬の第4回成虫による産卵がもっとも多かった。第4回成虫の処女雌トラップによる誘殺とサトイモにおける産卵との間には,産卵50%日が誘殺50%日より4日から10日先行する傾向がみられた。第5回成虫による産卵は例年非常に少なかったが,これは気温の低下が原因の一つと考えられる。

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