日本応用動物昆虫学会誌
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合成性フェロモンを利用したハスモンヨトウの大量誘殺法による防除
I. サトイモ畑における幼虫コロニー密度の減少効果
根本 久高橋 兼一久保田 篤男
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1980 年 24 巻 4 号 p. 211-216

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抄録
合成性フェロモンを利用したハスモンヨトウ雄成虫の大量誘殺を行うため,27haのほ場に52個の乾式トラップを設置したところ,次の結果を得た。
1. 捕虫数は外部から内部に向かうにしたがい減少する傾向が見られた。
2. 大量誘殺区のサトイモ畑51筆における3令までの1卵塊由来の幼虫コロニー地図を作成したところ,9月18日では周辺部にくらべ中心部の幼虫コロニー密度が明らかに低くなっており,既交尾の雌の外部からの侵入は少なく,内部での交尾率がコロニー密度に影響することが示唆された。
3. 対照区との比較による被害葉率と幼虫コロニー密度は9月までの調査の結果,いずれも大量誘殺区で低かった。しかし,10月になると,内部での幼虫密度が上昇して,大量誘殺の効果は見られなくなった。
4. サトイモにおける被害軽減の判断として,1卵塊由来の幼虫コロニー密度を調査する方法はかなり有効と思われる。
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