日本応用動物昆虫学会誌
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日本産ナミハダニTetranychus urticae KOCHの休眠誘起の臨界日長とその地理的変異
後藤 哲雄真梶 徳純
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1981 年 25 巻 2 号 p. 113-118

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抄録
日本の6ヵ所からナミハダニを採集し,これらの休眠性とマラソンに対する感受性を調査した。
1. 札幌産を用い,温度を20°, 18°, 15°Cとし照明時間を13.5, 12, 10.5, 8hrとしてこれらの休眠誘起率に及ぼす影響を調査したところ,13.5hrでは15°Cであっても休眠しなかった。試験したいずれの温度条件でも照明時間の短縮に従って休眠率が高くなる傾向があった。
2. 15°Cにおける各産地ハダニの臨界日長は,札幌産,盛岡産が12hr 50min,福島産12hr,市川産9hr 40minであった。福岡産,鹿児島産は試験した範囲(9.5hr∼13.0hr)では休眠しなかった。
3. 松戸野外における休眠雌の出現時期は,札幌産,盛岡産,市川産が調査を開始した10月上旬産卵のものから約50%の休眠雌を生じたので,これよりやや早い時期と考えられた。鹿児島産は11月上旬産卵のものでも休眠雌は出現しなかった。
4. 各産地のマラソンに対する感受性レベルは,LC50で札幌産44,盛岡産250,福島産148,市川産218,福岡産683,鹿児島産161ppmであった。マラソンに対する感受性の程度と休眠性との関係は判然としなかった。
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