1個の性誘引トラップで数種の果樹害虫を同時に誘殺するため,それぞれの性誘引用製剤の誘引効果におよぼす他種の性誘引用製剤の影響について検討した。
1. モモシンクイガでは,ナシヒメシンクイ,コスカシバおよびリンゴモンハマキの3種の製剤と同時に使用しても,誘引効果への影響は認められなかった。
2. ナシヒメシンクイでは,モモシンクイガおよびコスカシバの製剤のそれぞれと組み合わせて使用しても,誘引効果への影響は認められなかったが,リンゴモンハマキおよびリンゴコカクモンハマキの製剤と組み合わせて使用すると,著しく誘引効果が低下した。
3. リンゴモンハマキでは,モモシンクイガ,ナシヒメシンクイおよびコスカシバの3種の製剤と同時に使用しても,誘引効果への影響は認められなかったが,コカクモンハマキの製剤と組み合わせて使用すると,著しく誘引効果が低下した。
4. コスカシバでは,ナシヒメシンクイおよびリンゴコカクモンハマキの製剤のそれぞれと組み合わせて使用すうと,誘引効果がそれぞれ約25および50%に低下した。またモモシンクイガ,ナシヒメシンクイ,リンゴモンハマキおよびリンゴコカクモンハマキの4種の製剤と同時に使用すると,誘引効果は著しく低下した。
5. モモシンクイガとナシヒメシンクイおよびリンゴモンハマキとコスカシバを組み合わせて1個の性誘引トラップで2種ずつの誘殺消長を同時に調査したが,1個の性誘引トラップにそれぞれ1種ずつを対応させた場合の誘殺消長とほとんど同じであった。