抄録
ナミハダニ卵に対するmilbemycins褐色油状物質(BOM)による室内淘汰実験で,成虫に対してLC50で100∼170倍,卵に対して約10倍強い抵抗性個体群(MR系)が得られた。しかし鉢植インゲンにおける防除試験では起源を同じくする感受性(札幌S系)ハダニに対する薬量の約4倍量のBOM乳剤で防除できた。
交配実験の結果は抵抗性の遺伝様式が常染色体に遺伝子をもつ不完全優性(中間型)遺伝の場合と一致した。
札幌S系とMR系の1:1混合飼育では,1ヵ月後の検定で抵抗性個体比率が増加していたが,それ以後9ヵ月間は変化がみられなかった。
電気泳動によるβ-naphtylacetate加水分解酵素のチモグラムパターンはMR系で変化が認められた。
MR系ハダニの虫体ホモジネートとBOMを混合し24時間インキュベートした場合,札幌S系ハダニ比べBOMを不活性化する能力が強かった。