抄録
ホソハリカメムシが水田へ移動する原因を餌植物選好性から検討した。
1. イネの出穂と同時期,即ち7月中旬から9月に出穂するヒエ類およびメヒシバがホソハリカメムシの重要な餌植物であった。
2. イネ,ヒメイヌビエおよびメヒシバの3種の穂のうち,ホソハリカメムシがイネを選好するか否かを網室内で試験した結果,特にイネを選好する傾向は認められなかった。
3. ホソハリカメムシの餌としての好適期間はヒエ類,メヒシバなどの雑草のほうがイネより長いと考えられた。本種が水田に移動するのはイネが周辺の雑草よりも先に出穂する場合であり,8月以降,ヒエ類およびメヒシバが水田周辺のいたる所で出穂し,ホソハリカメムシがそれらの雑草に移動した後は水田への移動は少ないと考えられた。