日本応用動物昆虫学会誌
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幼生生殖をするタマバエの発見とヒラタケにおける増殖と加害状況
讃井 孝義湯川 淳一
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1986 年 30 巻 1 号 p. 50-54

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抄録

1984年に宮崎県のヒラタケ栽培舎で発見されたタマバエはわが国未記録のMycophila属の一種であり,両性生殖以外に幼生生殖も行うことを確認した。翅長は0.9mm内外の微小な成虫であるが,雌は大卵少数の傾向を示し,長径約0.25mmの比較的大きい卵を4∼6個保有していた。幼虫は体長や体色,胸骨の有無などに変異が見られた。幼生生殖1サイクルの所要期間は25°Cで4∼5日,母幼虫当りの子幼虫数は飼育条件により2∼33匹であった。幼生生殖による増殖率は4段階の飼育温度のうち27°Cの場合が最も高く,21日間で約2,000倍に増殖した。ついで,22°C,17°Cの順であったが,12°Cではほとんど増殖しなかった。本種はヒラタケ以外にもキクラゲやナメコ,マッシュルームなど6種の担子菌類でも活発な幼生生殖を行い,広範囲な食用菌類の害虫になりうる可能性を持っていることがわかった。

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